妊娠から出産までの過ごし方 | 赤ちゃんの成長と過ごし方 |
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母乳のためにおっぱいケアをはじめよう
母乳は赤ちゃんに最良の栄養です。母乳は免疫物資を多く含み、赤ちゃんとお母さんのきずなを強くしてくれます。
妊娠中は乳房がしだいに大きくなりますが、これも乳腺が発達するため。お母さんのからだは母乳を出すための準備を進めています。母乳をよく出すため、また赤ちゃんが吸いやすく、強い乳首にするために、妊娠中から乳房や乳首の手入れを始めましょう。一般的なケアは次に紹介する通りで、胎動を感じ始めたころがスタートの目安です。産婦人科医や助産師、また母親学級などでもケアの方法を教えてもらえます。
なお、マッサージ中に下腹部に痛み・張りがあるときや、切迫流早産の危険がある場合は中止します。 医師の指示を守りましょう。
【ケアの方法】
妊娠20週くらいになると、生まれてからするような動きはすべて、おなかのなかでもするようになります。
たとえばあくびとか、口をもぐもぐさせるとか、しきりに自分のからだをさわっていたりもします。何かの拍子で指が口に入ったようなときには、まるで指しゃぶりをしているような姿がみられることもあります。そのほかにも、子宮の壁に手や足が触れると、まるではいはいのように手足をせっせと動かすような動きがみられることもありますし、伸びをしたり、寝返りのようにからだの向きを変えたりと、本当によく動いています。
こうした動きが、赤ちゃんのからだが大きくなるにしたがって、お母さんにも伝わるようになるのです。
妊娠中は脂質(コレステロールや中性脂肪)の値が非妊娠時よりもかなり高くなることが知られています。これは、母体の活動に脂質のエネルギーが利用 されるため、といわれています。つまり、母体はブドウ糖に加えて脂質もエネルギー源にできますが、胎児の発育には主にブドウ糖が利用されるため、母体でのブドウ糖の利用を節約できるよう、高脂血症になっているとも考えられています。
妊娠後半期には血中中性脂肪は2~4倍、総コレステロール値は25~50%増加することが知られています。家族性の高脂血症の方などは特にそうですが、脂質や炭水化物などを制限した、低カロリーで食物繊維を多くとる食事療法を行い、適度な運動をして、妊娠中の体重増加を適切な範囲に抑えることが重要です。妊婦健診で 経過をしっかり診てもらいながら、妊娠高血圧症候群にならないようにしてください。
なお、妊娠終了後も経過観察が必要です。血液検査で脂質を測定してもらい、低下していくことを確認してもらいましょう。
おなかが大きくなるにつれて、ふくらはぎやひざの裏、外陰部などにコブのような「静脈瘤」が現れる妊婦さんが多いです。静脈瘤は、大きくなった子宮に血管が圧迫され、下半身の血行が悪くなるために現れます。
静脈瘤ができてしまった場合でも、通常は産後半年くらいで自然に治るので心配はありません。
弾性ストッキングをはくと痛みが軽くなるようです。また、長時間立ち続けない、足をマッサージする、適度な運動をする、クッションをしいて足を高くして寝ることなどが予防に効果的です。
妊娠中はメラニン色素が増えるため、乳首や乳輪、外陰部やわきの下が黒ずむことがあります。シミ・そばかすも増えますので、紫外線は避けましょう。
メラニン色素には皮膚を保護する働きもあり、産後、赤ちゃんが乳首を強く吸っても平気なように準備しているのです。あまり神経質にならないようにしましょう。
子宮内の赤ちゃんがそれぞれ部屋を持っているふたごの赤ちゃん(2絨毛膜双胎)の場合は、互いの影響を受けずにお母さんからの栄養を吸収することができます。しかし、ひとつの部屋で育っている場合(1絨毛膜双胎)では胎盤がひとつなので、ふたりでへその緒に続く血管を共有することがあり、血液や栄養が平等にいかずに体重差が生じることがあります。ふたりのあいだに多少の体重差があっても、上手に対応して生まれてくることが多いですが、その差がある程度以上大きくなると、さまざまなリスクが出てくるので、注意深い管理が必要になります。
もっとも注意が必要なのが、「双胎間輸血症候群」です。これは、一方の胎児から他方の胎児に血液が移行することによって、体重差や羊水の差が生じ、赤ちゃんの一方が多血の状態に、一方が貧血の状態になるものです。この場合、重要なのは赤ちゃんの体重差ではなく羊水量の差で、羊水深度が片方が8cm以上、もう片方が2cm以下になることは大切なサインです。
双胎間輸血症候群になると、母体のほうもおなかが張ったり(子宮収縮)、おなかが大きくなったり(羊水過多)しますが、最初のうちは自覚症状がないので、健診のたびに超音波検査で体重差だけでなく羊水量の差がないかチェックし、必要があれば積極的に治療します。