妊娠から出産までの過ごし方 | 赤ちゃんの成長と過ごし方 |
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妊娠中のからだの変化に注意しよう
動悸は妊娠中の女性が多く感じる、もっとも一般的な症状のひとつです。
妊娠中は大きくなった子宮が横隔膜を持ち上げるため肺が圧迫され、動悸が出やすいといわれます。また、赤ちゃんや胎盤などに循環するため妊娠前の1.4倍くらいに循環血液量が増加して心臓に負担がかかり、動悸が出やすいのです。一方で、甲状腺機能亢進症、不眠症、不安やストレス、貧血、不整脈などからも動悸が出やすく、切迫流・早産の治療薬によっても動悸が出やすくなります。
日常生活では休憩をよくとり、食事や軽い運動、睡眠など規則正しい生活をしてください。ひどくなるようなら医師に相談し、甲状腺機能や心電図などの検査も行ってください。
助産師さんに相談したり、家族とリラックスすることも効果的です。
腰痛は、妊婦さんの大きな悩みの1つです。
原因は、大きくなったおなかを支えるために、体をそらせ、おなかを突き出す姿勢になってしまうことです。また、ホルモンのバランスの変化により、骨盤などが緩み、大きくなったおなかを支えるための力が弱くなるため、妊娠に腰痛は避けられない症状といえます。
予防法は、常に正しい姿勢を保つ、適度な運動で血行を良くする、長い時間同じ姿勢でいることのないようにすることなどです。適度の運動も大切です。無理のない程度にからだを動かすよう、妊婦体操などもよいでしょう。
妊娠中に眠くなるのは主にホルモンの影響です。つわりで眠くなる人もいます。反対におなかが大きくなると、自由な姿勢がとれず寝苦しくなったり、「出産がうまくいくだろうか」と不安で眠れなくなるケースもあります。妊娠末期にはホルモンなどの影響で、睡眠のパターンが変わり、深い睡眠の時間が少なくなることがあります。
「眠れない」という妊婦さんは、「眠らなくては」と思わず、「眠れなかったらそれでもいい」くらいの気持ちで、気楽にかまえればいいのです。睡眠不足で健康を害したり、おなかの赤ちゃんに影響があったということはないし、心配しなくても、本当に疲れたら眠るものです。昼間の散歩や妊婦体操で適度にからだを動かすこと、寝る前にぬるめのお風呂にゆっくり入ってリラックスすることなども効果的です。
通常は赤ちゃんが生まれたあとに出てくる胎盤が、妊娠中にはがれてしまうことをいいます。サインは突然の激しい腹痛と出血です。おなかが板のように硬く張ったり、顔が青ざめたりします。貧血が進み、ショック状態になり、母子ともに一刻を争う事態ですので、急いで産婦人科を受診しましょう。
おなかを強く打った、高いところから落ちたなどが原因になることもありますが、原因不明のこともあります。また、妊娠高血圧症候群が原因になることもあるので、健康管理に注意しましょう。
カンジダ膣炎などの感染症が起こりやすい時期です。カンジダはカビの一種で、外陰部のかゆみや腫れを引き起こします。出産の際、赤ちゃんにも感染するので、早めに治療しておきましょう。
カンジダは妊娠中の免疫力の低下やおりものの増加で起こることがあるので、普段から通気性のよい下着をつけ、外陰部を清潔に保つことが大切です。
カンジダのほかにも、水痘(水ぼうそう)やりんご病、インフルエンザなどの感染症には、妊婦さんには特に気をつけてほしいものです。手洗い・うがいの徹底や、流行時のマスクの着用はもちろん、ウィルス除去に強い空気清浄機を選ぶことも大切です。
多胎妊娠の場合、出産時のトラブルを防ぐ理由から、前もって出産日を決め、その1週間ぐらい前から管理入院するケースも多いようですが、本来出産の時期は自然に決まるものです。妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)や胎児の双胎間輸血症候群などのリスクがないかぎり、破水や陣痛が起きるのを待つこともできます。
早産はできる限り避け、予定日までお腹のなかで赤ちゃんを育てたいですが、妊娠高血圧症候群や糖尿病、子宮内感染などで子宮の環境が悪くなった場合、赤ちゃんが「お腹のなかにいるより外に出たほうがよい」と判断して出てくることもあります。また、双胎間輸血症候群の場合、赤ちゃんの健康状態によっては、たとえ早産になっても早く分娩させて赤ちゃんを別々にしたほうがよいケースもあります。
早産になるにはそれだけの原因があり、生きるためのベストな選択として結果的に早産になることもあるのです。もし予定より早く出産することになっても、自分を責めず、今の状況を受け入れていくことが大切です。